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第21話 ゴーレムが大きすぎる

「おお、こんなに魔石がいっぱい。すごいな」

「でしょでしょ!」


 褒めて褒めてー、とばかりにセナが頭を出してくるので、仕方なく撫でてやった。


「ニィー」

「何だ、お前も撫でてほしいのか?」

「ニィニィ」

「よしよし」


 ミルクは甘えん坊だなぁ。


「ぶ~、ミルクは何もしてないのに!」

「そこにいてくれるだけで俺を癒してくれてるから」

「可愛い妹だって癒し効果抜群だと思う!」

「はいはい。それにしてもミルクの成長は早いな」


 ミルクはたった数日で生まれたときより一回りも大きくなっていた。

 もう抱きかかえているのも大変なくらいだ。


「……なんか、猫にしてはちょっと大き過ぎない?」

「ぎくり」

「お兄ちゃん?」

「な、何でもないぞ。さーて、早速この魔石たちを菜園に使うかな」


 火山エリアとやらに行き始めてから、セナは大きな魔石をたくさん持って帰ってきてくれるようになっていた。

 今日もレベルが上がるかもしれない。


―――――――――――

 ジオの家庭菜園

  レベル20 31/100

  菜園面積:1000/26000000

  スキル:塀生成 防壁生成 ガーディアン生成 メガガーディアン生成 菜園隠蔽 菜園間転移

―――――――――――


〈レベルが上がりました〉

〈ガーディアン生成から派生し、メガガーディアン生成を習得しました〉

〈スキル:菜園間転移を習得しました〉

〈新たな作物の栽培が可能になりました〉


 予想通りレベルアップした。


 ていうか、菜園の最大面積、桁が凄いことになってない……?

 どれぐらいの広さなのか、もはやまったく想像できない。


 ええと、メガガーディアンって何だろう?


〈メガガーディアンを作りますか?〉


 少し嫌な予感はしつつも、試しにやってみることにした。


 すると菜園に現れたのは、高さ五メートルはあろうかという巨大なゴーレムだ。

 今までのゴーレムはせいぜい人間大のサイズだったので、あまりの大きさに驚いて僕は尻餅を突いてしまう。


「でかっ!」

「うわっ、お兄ちゃん、何あれ!? 強そう!」

「フシューッ!」


 突然現れた巨大ゴーレム――メガゴーレムと呼ぶことにしよう――にセナが驚き、ミルクは毛を逆立たせた。


「きゃ、キャンセル! 消してくれ!」


 慌てて叫ぶと、何事もなかったかのようにメガゴーレムは消失した。


「ふぅ……防壁といい、ちょっと規模が大きすぎるだろう」


 こんなゴーレムが必要だとすれば、魔物に襲われたときぐらいだろう。


 でもここは街中だ。

 魔物が現れることはない。

 まぁ絶対にないとは言えないけど……そんな機会は来ないと信じたい。


 そして五の倍数であるレベル20になったことで、新しいスキルも習得している。


「菜園間転移?」


〈菜園間を転移しますか?〉


 はい。


〈転移できませんでした〉


 どういうことだ?

 何度か試してみたけれど、結局このスキルの使い方はよく分からなかった。


「新しく栽培できるようになった作物は……高品質の果物か。これも封印だな」


 レベル15以降、高品質の作物が増えてきてはいるのだが、危険性を知って以来、栽培しないようにしている。


「お? でも、今までにない種類のも作れるようになってるな?」


 銅鉱石 中品質

 鉄鉱石 中品質

 銀鉱石 中品質

 金鉱石 中品質

 ボーキサイト 中品質

 アメジスト 中品質

 エメラルド 中品質

 サファイア 中品質

 ダイヤモンド 中品質

 ミスリル鉱石 中品質


「ん? 鉱物……?」




    ◇ ◇ ◇




「っ……いたわ」


 アニィが喉の奥が詰まったような声で告げた。

 パーティの緊張が一気に高まる。


「あれが火山エリアのネームドボス……」


 その姿を視界に収めて、シーファが息を呑み込んだ。


 岩場の陰に身を潜める彼女たちの視線の先にいたのは、真っ赤な鱗に全身が覆われた巨大なリザードマンだった。


「通称、ボルケーノ」


 ここ火山エリアに多数棲息しているレッドリザードマンたちの親玉とも言えるその魔物は、唯一名前を付けられた特別な個体――ネームドボスだった。


 氷冷ポーションを入手した彼女たちは、ここのところ頻繁に火山エリアの探索を進めていたのだが、ついにネームドボスの居場所を突き止めたのである。

 倒せばエリア攻略者として、大きく名を上げることができるだろう。


 もちろん得られるのは名声だけではない。

 ネームドボスの討伐報酬は基礎報酬だけで破格で、しかもそれに希少な素材の売値が加わる。


 とりわけボルケーノは近年ほとんど討伐記録がなく、それゆえ基礎報酬も素材価値も大きく上がっていた。


「ど、どうするのっ?」


 珍しく緊張しているのか、セナが上ずった声で問う。


「……戦う。今の私たちならいけるはず」

「そうね。氷冷ポーションも十分な数があるし、絶好のチャンスよ」

「セナ、協力してくれる?」

「うー、仕方ないなー」


 若干セナが躊躇を見せたものの、決断は早かった。


 三人は念のため一本ずつ氷冷ポーションを飲み直してから、隠れていた岩場から飛び出した。


「全員、最初から全開で行く!」

「「了解!」」


 シーファの上げた声が、二人に大きな力を与える。

 それは単に精神的なものだけではない。

【女帝の威光】の効力によって、実際に身体的な能力が跳ね上がるのだ。


「グルァァァッ!」


 こちらの接近に気づいて、ボルケーノが咆哮を轟かせる。


「平伏せ」

「ルァッ!?」


 だがネームドボスの身体を異変が襲った。

 これも【女帝の威光】の効力で、狙った敵の能力を低下させることが可能なのだ。


「えーい!」


 突然の異変に狼狽えている隙を突いて、セナの剣がボルケーノの硬い鱗に守られた胴を斬る。


「アァァァッ!?」


 ボルケーノは悲鳴を上げた。

【剣神の寵愛】を持つセナの剣技に、【女帝の威光】の能力向上が加われば、その硬い鱗にも確かなダメージを与えられるらしい。


 この先制攻撃を皮切りに、彼女たちのボス戦が始まったのだった。


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