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職場の隠れた害虫“シーエー虫”とは? 部下のやる気を奪う管理のワナ(1/5 ページ)

» 2025年02月23日 08時30分 公開
[岸良裕司ITmedia]

この記事は、『組織をダメにするのは誰か? 職場の問題解決入門』(岸良裕司/クロスメディア・パブリッシング)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。


 【名称】シーエー(CA)虫

 【主な生息地】 納期遅れ、予算超過が頻繁に発生する会社の会議室や管理者の周辺

 【特徴】 上司という圧倒的に優位な立場にあぐらをかき、部下にダメ出し・叱責するのが特徴。主な被害は、納期遅れ、予算超過、会社の収益の悪化、顧客満足度やモチベーションの劇的低下など。大量発生すると風通しの悪い職場という風土病を引き起こし、治療に長期を要することがある。

「シーエー虫」が引き起こす深刻なダメージとは?

 「今になって、なんでこんな大問題が出てくるんだ!」

 納期ギリギリになって、こんな怒号が会議室や職場から聞こえてきたら、そこには「シーエー虫」が蔓延している可能性が高い。「シーエー虫」は、PDCA(Plan Do Check Action)の後半の「Check」「Action」の頭文字から名付けられたと言われている。

 納期の遅れや予算超過の責任は「報連相」を適切にしなかった部下に押し付け、自分は事態を挽回したとしてヒーロー気取り。

 この害虫の存在にいち早く気付いたとされているのが、マツダ元会長の金井誠太氏だ。金井氏は、CAにこだわるマネジャーの弊害を説いている。

 つまり、Plan Doの段階では部下に丸投げしておいて、Check段階で部下にあれこれ指示し、自らAction=改善に乗り出す上司は、それによって自己満足を得ているのだと。

 そんな金井氏が作成したシーエー虫を発見するためのチェックリストは、次の通り。

 1 最初は部下に仕事を丸投げ

 2 納期が迫った時に、進捗をチェック

 3 納期直前になって、納期が間に合わないことを発見

 4 マネジャー自らが先頭に立って対策

 納期が迫っていれば、マネジャー自ら先頭に立って必死に対策しても、多少の納期遅れや予算超過は免れない。その責任はすべて現場のせいになる。一方、納期ギリギリで発覚した大問題を多少の損失だけで抑えて挽回したマネジャーは活躍しているように見え、高く評価される

 「やっぱり、私がいなきゃダメだ」

 そんな自己満足に陥っているマネジャーが職場にいたら、すでにシーエー虫が発生している可能性が高い。言うまでもないが、上司はたいていの場合、部下よりも経験もあるので物事にうまく対処できる。しかも、問題が発生するたびに、上司の優位性はさらに高まる。一方で、部下は自信をなくし、モチベーションも下がり、メンタルヘルス問題も発生するようになる。

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