夢の内容から深層心理がわかるという「夢分析」。果たして脳科学的に正しいと言えるのか?
脳科学者・澤田誠さんの新刊『思い出せない脳』は、日常的な「記憶の謎」のメカニズムから、記憶という能力の本当の意味まで、記憶研究の最先端の知識を分かりやすく解説する。
同書では、睡眠中に脳が記憶を整理する仕組みについても詳しく説明されているが、記憶が選別される過程で生じるのが「夢」だ。
夢分析を脳科学的に解釈してみるとーー。
※本記事は、澤田誠『思い出せない脳』から抜粋・編集したものです。
「夢」を通して、脳の働きを覗き見る
19世紀末から20世紀初頭に活躍した精神科医フロイトは、夢は睡眠中に意識に混入してくる無意識の表れであると考えました。フロイトやその弟子だったユングは、夢に出てくるアイテムに患者の心の手掛かりがあると考え、「夢分析」を行いました。
夢分析の内容は科学的に証明されているわけではありませんが、夢が無意識のメッセージを伝えるという考え方は今でも多くの人を惹きつけています。
夢は脳が記憶を作る働きから生まれます。夢が支離滅裂だったり、どこかつじつまが合わなかったり、それでいて自分と無関係ではないのは、もともとは自分の経験から作られた記憶がもとになっていて、それが制御されずに出てきているからです。
私たちは夢を通して、脳の働きを覗き見ることができるという意味では、夢を分析してみることは自分を知るためのひとつの手段になるかもしれません。