インタビュー
「NINJA GAIDEN 4」インタビュー。「NINJA GAIDEN」らしさとプラチナゲームズらしさを追求
ついにリリースされたシリーズ最新作の開発秘話を2人のクリエーターから伺った
2025年10月29日 18:00
- 【NINJA GAIDEN 4】
- 10月21日 発売
- 価格:8,900円〜
Team NINJAとプラチナゲームズがタッグを組んだことで話題となった、忍者アクションゲームの最新作「NINJA GAIDEN 4」が、Xbox Series X|S/プレイステーション 5/PC向けに10月21日に発売となった。
かつてから「NINJA GAIDEN」シリーズのファンというプラチナゲームズのプロデューサー兼ディレクター中尾裕治氏と、長年「NINJA GAIDEN」シリーズに携わっているTeam NINJAのディレクター平山正和氏のお二人にリリース直前のタイミングで、現在の心境から開発の裏話まで様々なお話を伺った。本作をプレイ中の人や、「NINJA GAIDEN 4」が気になっている人はぜひ読んでもらいたい。
※注:本インタビューは発売前となる10月16日に実施しました。
最新作はヤクモとリュウ・ハヤブサの対比をテーマに作られた
――ついに発売となりますが、開発の長い年月を経て、今のお気持ちはいかがでしょうか?
平山氏:「gamescom」や「東京ゲームショウ」など、試遊の場で皆さんが楽しんでいただけていたので安心する気持ちもありましたが、 不安な気持ちで発売前日までは寝られなさそうです。
中尾氏:僕も同じ気持ちです。それに加えて、本当に久しぶりの「NINJA GAIDEN」なので、僕もシリーズファンのひとりとして、不安とワクワク感が入り混じっている感じです。
――国内ユーザーにとっては、東京ゲームショウが本作を初めてプレイする機会でしたが、反響はいかがでしたか?
平山氏:やはり映像だけだとヤクモという新主人公の魅力がすべて伝わらないこともあり、不安視されている方も結構いらっしゃったのかなと思いますが、実際にプレイした方からは「ヤクモも『NINJA GAIDEN』らしいアクションだった」とか、プラチナゲームズさんらしいケレン味といった部分の感想をいろいろ見させていただきました。“ヤクモを受け入れていただけるのだろうか”と不安でしたが、嬉しい反応を多くいただきました。
中尾氏:試遊してくださった中で、結構細かくゲーム内容を分析されてる方がいました。プレイした上でココがこう変わっていたとか、逆に変わっていなかったとか、ココが良かった、とディープな感想をいただきました。「NINJA GAIDEN」の変化を受け入れていただいた上での感想だと思いますので、そういうメッセージ性もすごく感じられて嬉しかったです。
――確かに熱が入っていないとそこまでいかないですもんね。
中尾氏:そうなんですよ。なので愛されているシリーズだな、と改めて思いました。
平山氏:試遊版ではキーアサインなどをデフォルトにしてるのですが、本作には過去作をベースとした操作方法もプリセットも用意していたり、操作方法などもいろいろカスタマイズできるようにしてあります。ただ、試遊はプレイ時間が短いこともあり、デフォルトしか提供していなかったので「今まで通りの操作方法ができないのではないか?」という声もSNSで見かけました。その際は「設定で切り替え可能です」とお伝えしたい気持ちでした(笑)。
――製品版をプレイしてみて、全体的には本当に「NINJA GAIDEN」なのですが、遊べば遊ぶほどヤクモとハヤブサとで別物のアクション性だなと感じています。ここは大きく変えようと意識したところなのでしょうか?
中尾氏:そうですね、一番意識したのはもちろん「NINJA GAIDEN」らしさをしっかり体験してもらう、というところです。その上で、今回はプラチナゲームズとTeam NINJAさんのコラボになるので、プラチナゲームズらしさもしっかり出して、「NINJA GAIDEN」をより昇華したものにしていきたい、という点はすごく意識しました。それに加えて、ハヤブサが特に「NINJA GAIDEN」らしさを体現しているものだと思いますが、そのハヤブサとヤクモをキャラ設定から遊び心地まで“対比させたい”と思っていました。根源的な部分はすごい「NINJA GAIDEN」そのものですが、プレイしていただくと徐々にそれぞれの違いや、新しい深みなどがジンワリと……やればやるほど出てくるような形に設計するのはすごく意識しましたね。
――ヤクモは多彩な武器があるのもハヤブサと大きな違いですよね。開発者目線で数ある武器の中でも特にオススメの武器はありますか?
平山氏:やはり私はデフォルトの「双刀・太刀」の武器種を触っていただきたいなと思っています。「双刀・太刀」をデフォルトの武器にしている理由でもあるのですが、ハヤブサらしいパワフルなアクションではなく、ヤクモとしてのスピーディーで軽快、クールなアクションを体験できるようになっています。太刀という長さが伸びる武器を使えますし、ショートレンジで素早いアクションを楽しんでいただく中で、ダイナミックさやスケール感の変化を、最もわかりやすく体感できる武器種だと考えています。
そこは今回の鴉の型と鵺の型の切り替えですとか、「NINJA GAIDEN」シリーズのバトルサイクルに落とし込んでいく部分ですとか……そういったところで一番基準とした武器種ではあるので、「NINJA GAIDEN 4」での進化をわかりやすく感じていただけるかなと思います。
中尾氏:私は一番最後に発表させてもらった暗器の「秘器・影蛭子」をイチオシにさせてもらいたいです。「秘器・影蛭子」は先ほどお話したような、噛めば噛むほど味が出る、をより強調した武器となっています。一見すると、遠距離武器と近距離武器をまとめたトリッキーな武器という感じですが、高難易度の「NINJA GAIDEN」らしい苛烈な敵に対して、使えば使うほど“遠距離だからお手軽だよね”とはなりきらないところにすごい深みを作れたなと思っています。技の種類も豊富に作っていますし、コンボの派生でどのように繋げるのがベストなのか、というのがそのときどきで結構変わってくる武器なので、より柔軟にアドリブで戦う力を求められ、やればやるほど楽しくなる武器になっています。
――最初は、遠距離で戦えるなら最強じゃんと思いましたが、実際にプレイすると近づかれたときにキツイというバランスも絶妙ですよね。
中尾氏:そうなんですよ。まさにそこが「NINJA GAIDEN」がずっと引き継いでいるエッセンスで、良いところをより強調している部分です。敵とプレイヤーが対等で、攻防の切り替わりがちゃんと存在しているゲームというのが私の中では「NINJA GAIDEN」の良さだなと思っています。今お話したように、レンジだけで言えば最強なので基本相手が手出しできないんですけど、そこに手を出してくる敵がいたりします。空中コンボ中は敵の攻撃を食らわないとか、敵に阻止されないという安全状態になるゲームもあると思いますが、こと「NINJA GAIDEN」においてはまるで格闘ゲームかのように狩ってきたりするわけで、そういうシビアさみたいなところがやはりバランスの妙かなと思っていて、そこも結構面白くできたと思っています。
ステージ設計やハヤブサの見せ方など開発裏話
――プラチナゲームズらしさでいうと、レールの上を走って進むパートや、空を飛んだり、サーフィンのように水上を進む忍具があったりと多彩な遊びがありますが、どういった発想で盛り込まれていったのでしょうか?
中尾氏:まず、バトルとバトルの繋ぎも含めて、とにかくステージ全体における加速感、途切れなさみたいなところを盛り込みたかったのです。アクションの新要素として、ワイヤーアクションなどを可能にする「鴉忍具」を導入する発想があり、その上でそれぞれどういうことができたらいいだろう、というのをヤクモとリュウの目線の両方で考えました。例えば、レールアクションは疾走感を象徴するアクションになりそうだったので入れたり、過去作のムササビダイブを拡張して空を飛ぶアクションを入れました。サーフィンのような水馬は、リュウだと過去作でもあった水走りを意識しています。過去作をリスペクトしつつ、ヤクモならどうするかとアプローチの方法を変えたり、ヤクモとリュウを対比させつつ、ステージ全体の加速感を出すためにはどういうシチュエーションやシークエンスが出てくるのが見ていて飽きさせず、かつ面白さを意識して作っていきました。
――なるほど。実装できなかった案や開発当初から変わった点などはありますか?
中尾氏:具体的な案ではないですが、今のレールや鴉忍具の塩梅、その規模感は、大規模なものだった時期がありました。今はステージに溶け込ませて加速感を足すように入れ込んでいますが、元々は、そのとき限りの特別なシチュエーションがすごい多い構成で構想していたんですね。ですが、やはり「NINJA GAIDEN」は“バトルが面白い”というところに辿り着くゲームだと思います。バトルが希薄になってしまうシチュエーションは「NINJA GAIDEN」というゲームにおいてはシナジーしきらないものなんだろうと、作っている中で話し合いまして、今のバランス感になりました。今は立体的なゲームの遊びを入れてはいますが、自由だったがゆえに逆にバトルのバランスが合わなくなってしまっていた、といったところも結構悩んでいましたし、ずっと話し合ってバランス調整していきましたね。
平山氏:懐かしいですね。我々は「NINJA GAIDEN」をずっとプレイしてきているので、ちょっとバトル狂過ぎて(笑) バトルを増やしてください、敵を増やしてくださいってずっと言い続けていました(笑)。
――最初の構成はそうだったんですね。今は通常のステージを進んでいる中でシームレスに特殊なパートに移り変わりますよね。
中尾氏:そうですね。区画をしっかり分けているというよりは、ちゃんとグラデーションをつけたかったのでそうなっています。レールを進むと敵がいて、暗殺してバトルスタート、とかそういうリアルタイム感は外さずに作っていました。
――今回、ハヤブサはヤクモの敵として登場しますが、ハヤブサというキャラの見せ方や立ち位置などで苦労された点などありましたか?
中尾氏:見せ方において苦労したことはなかったはずですね。ハヤブサとヤクモを対比させるというお話をしたと思いますが、対比させた理由としては、そうすることでリュウ・ハヤブサの強さがより強調されると思ったからです。光が強く当たると影が濃くなる、みたいな話なのですが、ヤクモとの対比をしっかり表現すれば、描けば描くほどリュウ自体の色がどんどん濃くなっていくと思いました。対比させていこうというところは最初から曲げなかったので、そこに関しての苦労はなかったです。ですが、それに当たって、リュウの強さを引き出すための演出や調整に関しては結構苦労したといいますか、こだわって作っています。
平山氏:調整でもそこは意識してましたよね。リュウが弱いのはちょっと……というのはありつつも、強すぎてもゲームとしてよくないので、しっかり存在感を出しつつもちゃんとゲームのバランスを整えるために結構調整したところはありましたね。リュウがめちゃくちゃ強い時期もありましたし、逆にめちゃくちゃ弱い時期もあって、それらを経て今に至っています。
――ハヤブサが弱かったのは衝撃的ですね。
中尾氏:どちらかというと、リュウが弱いというよりヤクモの鵺の型が強すぎたという感じです(笑)。
――思い違いかもしれませんが、プレイアブルキャラがハヤブサに変わったとき、ヤクモより強いなと感じたのですが、能力的な差はありますか?
平山氏:ヤクモは武器切り替えのコンボや鵺の型なども含めて、やり込むとしっかりと強さを引き出せるような能力で、一方のハヤブサは比較的パワフルでガンガン攻めていても能力を出せるようになっていると考えています。やり込むほどヤクモの評価が上がり、触れ始めはリュウの方が強く“超忍感”をすぐ体感できる――というイメージで中尾さんと話したりしていますね。
――なるほど。扱いやすさの面で最初はハヤブサの方が強く感じるという。
中尾氏:そうですね。あと、ハヤブサを強く感じられるように、強そうなアクションを入れるのも意識していました。今回追加された「閃華状態」は、元々過去作にあった真龍閃華という空中で連続突進する技を昇華させたアクションですが、高速斬撃を連続で繰り出すだけで“強者感”が直感的に伝わります。使っているだけでハヤブサの強さが味わえて、実際に使いこなせばさらに強くなる。ハヤブサの強者感を引き出すのに、インパクトの強いアクションをたくさん取り入れています。
――今作でもあやねが登場するのが嬉しかったですが、 Team NINJAとプラチナゲームズ、どちらの意向で登場させようとなったのでしょうか?
中尾氏:どっちでしたっけ? まあ出すよね、という感じだったような気がします。絶対に出さないと! と議論したというよりは、リュウとあやねは有無を言わさず出しますよね、みたいな感じでシナリオにも組み込まれていました。
――今年は新作が2本リリースされ、「NINJA GAIDEN」にとってかなり活気がある年でした。ちょっと気が早いのですが、今後の展開など聞ける範囲で何かありますか?
平山氏:さすがに今の段階で「5」作っています、みたいなことはないですが、ぜひ「NINJA GAIDEN 4」を遊んでいただき、皆さんに盛り上げていただきたいです。そして続編を作れる機会がまたあるといいな、とイチ開発者として思っています。
もちろん本編もいろいろ楽しんでいただけるように頑張っていますが、2026年にはDLC「二人の超忍」も配信予定です。リュウやヤクモの新武器種や新ストーリー、あとは新しいやり込みモードの追加などを予定しているので、長く「NINJA GAIDEN 4」を楽しんでいただければ幸いです。
――最後に、「NINJA GAIDEN 4」を期待しているファンに向けてお2人からメッセージをお願いいたします。
平山氏:約13年ぶりの新規ナンバリングということで、今まで応援してくださったファンの皆様には感謝いたします。今回プラチナゲームズさんとのコラボレーションもあり、ヤクモを新主人公に据えていますが、触っていただければしっかりと「NINJA GAIDEN」らしいアクションとプラチナゲームズさんのダイナミックなケレン味みたいなところの融合を楽しんでいただけると思っております。
そして、いつもながらリュウもしっかりとプレイアブルで登場しますので、2人の超忍をぜひ遊んでいただきたいです。また、「NINJA GAIDEN」シリーズを初めて遊んでいただく方でも、すぐ世界観に入っていけるようなストーリーになっています。難しいタイトルなんじゃないかと敬遠される方もいらっしゃるとは思いますが、忍者アクションを触ってみたいなという方は、気軽な気持ちでぜひ手に取っていただければと思います。今後もよろしくお願いいたします。
中尾氏:私も「NINJA GAIDEN」シリーズの大ファンなので、ようやく皆さんに存分に楽しんでもらえるのをすごく嬉しいと思っています。今回のインタビューの中でもお話させていただいた「NINJA GAIDEN」らしさですが、ここに関しては良い意味で変わっておらず、すごく情熱を注いで作ってきました。僕の中で「NINJA GAIDEN」のアクションは色褪せない面白さがあるなと思っています。いつプレイしても面白いアクション体験をもっと広く、いろんな人にプレイしてほしいという想いが一番強いです。今回、昔からのファンの方にも、新しい方にも楽しんでもらえるように、カスタマイズ性の拡張や、わかりやすく気持ちいいポイントを作ったり、いろんな要素を詰め込んだつもりです。ぜひプレイしていただければと思います。
――ありがとうございました。
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