JNCは、創業以来120年にわたり技術革新に挑み続けてきた化学メーカーである。液晶や有機EL材料、不織布、肥料など、多岐にわたる分野で人々の生活を支え、世界市場で存在感を示してきた。地域社会との共生を重視しながら未来を切り開いている。
浅野 進 代表取締役社長 社長執行役員
JNCは120年の歴史を持つ化学メーカーである。そのルーツは1906年、創業者・野口遵(したがう)が鹿児島県曾木の滝に水力発電所を建設し、その電力を活用して08年に水俣でカーバイド製造を始めたことにさかのぼる。
戦前には朝鮮半島に進出し、当時、東洋一規模の水豊ダムを建設。従業員4万5000人を抱える巨大化学コンビナートを運営した。
「私たちは『技術のチッソ』と呼ばれてきました。技術力を核に機能化学品で勝負してきた会社です」と、浅野進社長は語る。
「色純度が高い有機ELディスプレイ用青色発光材料においては、世界トップクラスの性能を誇り、従来開発・製造を行っている液晶と共に、日常生活に欠かせない家電製品の操作パネルや、スマートフォン、テレビ、自動車などのディスプレイ用途として広く使われています。また、熱融着技術を応用した不織布は紙おむつやマスクに利用され、使い心地や肌触りの向上に寄与。農業分野でも、必要な時期にだけ肥料成分が溶け出す被覆肥料を開発し、収量の安定化と環境負荷低減の両立を進めています」。