馳星周『ロスト・イン・ザ・ターフ』文藝春秋 競馬愛好者が集うバーを経営している葵は、ある日、競馬場のパドックでウララペツという芦毛の牡馬にひと目ぼれしてしまう。だが、戦績のパッとしないままウララペツは引退することになり、このままだと食肉にされてしまうと怯えた葵は、店の常連客を巻き込んでウララペツの馬主になることを決意する。名馬メジロマックイーンの血を引くウララペツを買い取って、種牡馬にしようと画策する葵。北海道の牧場はどこも、ウララペツを引き受ける余裕はなかったのだが……。 馳星周の競馬小説というと『黄金旅程』『フェスタ』『飛越』と、競走馬とそれを巡る人たちの葛藤を描いてどれもこれもめっちゃ面…