友人との待ち合わせで久しぶりに訪れた店は、新潟の地酒も出すようになっていて、種類は一種類のみ。時間制の飲み放題だった。 カウンターの片隅では、二人の女性が何やら話し込んでいる。 片方ばかりがまくし立てているので、彼女の声しか聞こえてこなかった。 「彼に奥さんと子どもがいることなんて、最初から知ってた」 「……」 「そうよ、全部わかってて好きになったの」 「……」 私は彼女たちの話に耳をそばだて始めたけれど、 「理屈で割りきれるような感情なら、それはもう恋なんかじゃないんだってば」 「……」 「今は無理だけどさ、いずれ結婚するんだ」 「……」 「待っててくれって」 「……」 「誰がなんと言ったっ…