2025年は、酸素欠乏による事故が相次いだ年だった。埼玉県行田市では、下水管のメンテナンス中に作業員が倒れ、救助に入った仲間も次々と倒れてしまった。徳島大学の低温培養室では、研究員が作業中に倒れ、酸素欠乏症で命を落とした。いずれも、特殊な環境に潜む“見えない死角”がもたらした悲劇だった。 だが、これらの事故の陰で、さらに見えにくい形で命を奪う「酸欠」がある。それが、数日後に死亡する酸素欠乏症だ。 遅れてやってくる死 ある醤油工場で、タンクの内部を清掃していた作業員が意識を失い死亡した。救助にあたった事業者は一命をとりとめたかに見えたが、6日後に酸素欠乏による低酸素脳症で死亡した。 厚生労働省の…