私たちは日々、「選ぶ」と「選ばれる」を繰り返しています。しかし現代は、選ばれる意味や基準が複雑化し、表面的なテクニックがもはや通用しません。重要なのは、「信頼できる人間力」であり、成長しながら「選ばれる力」を高めることです。本書『選ばれる人の100の習慣』(井上裕之著/日経BP)では、その具体的な方法を紹介します。今回は「選ばれるために自分を磨く」をテーマに、本書から一部を抜粋し、お届けします。

人生の目的を「ひと言」で表す

(写真=sakura/stock.adobe.com)
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 「あなたは何のために生きているのですか?」
 「生きる目的は何ですか?」

 こう質問されたら、どう答えますか?

 難しく考える必要はありません。シンプルな言葉でいい。
 たとえば、「人を笑顔にすること」とか、「本気で生きること」などでも十分です。

 選ばれる人は、人生の目的を明確に持っています。
 目的とは、その人の価値観を映す「自分の指針」です。
 何となく動いている人には、人も仕事も寄ってきません。

 反対に、「自分はこうなりたい」「こんな生き方をしたい」と意識している人は、その方向に向かって一所懸命取り組むから、応援され、選ばれる存在になっていきます。

 目的は見つけるものというより、自分でつくるものです。
 誰かに憧れる気持ち、自分が感動した経験、心を動かされた出来事にヒントがあります。嬉しかったこと、悔しかったこと、自分が怒った場面。そこには必ず、自分の価値観が反映されています。

 そうした経験を振り返ることで、「自分は何を大切にしているのか」「どんな生き方をしたいのか」が見えてくるのです。

 目的があると、言葉も行動も変わってきます。
 「人を笑顔にする」が目的だとしたら、仕事をするときも、誰かと会うときも、「相手を笑顔にするにはどうすればいいのか」と考えるようになります。
 自分が笑顔でい続けるために、健康や食事にも気を配るようになるでしょう。

 目的を考えるときは、「シンプルであること」を大切にしてみてください。
 短くて深いひと言。誰かに見せるものではないので、かっこいい言葉を探す必要はありません。自分の心が本当に動く言葉を選びましょう。
 大切なのは、自分がその言葉に納得し、行動に落とし込めることです。

 目的が定まると、人は変わります。
 何をするか、どう生きるか、その一つひとつの選択に軸が生まれます。

 だから、人生の目的を真剣に考えてみてください。
 どんなひと言が、あなたを突き動かすのか。
 その言葉が、きっとあなたを選ばれる人へと導いてくれます。

 たったひとつの言葉が、人生の軸となって全体をつないでいくのです。

媚びない

(写真=z1pp0/stock.adobe.com)
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 「この人に気に入られたら、チャンスが広がるかもしれない」。
 そう思ってつい相手の機嫌を取る行動をしてしまった。
 そんな経験はありませんか?

 人が誰かに媚びるとき、その目的は、「相手に気に入られること」です。
 だから、自分の意見や主張は伝えづらくなります。

 しかし、魅力的だと思われる人は、自分の考えを持ち、それを誠実に伝える力を持っています。同時に、相手の意見をきちんと受け止めた上で、価値ある質問ができます。
 そうした姿勢が、対等な人間関係を築き、信頼の基盤になるのです。

 また、誰に対しても対等に接する姿勢を持ちながら、敬意を示すことも忘れません。
 相手が立場のある人だからといって、過度にへりくだることもなければ、逆に立場の弱い人だからといって軽んじることもありません。

 なぜ媚びる人が選ばれにくいのか。それは、「自分の価値を下げてでも気に入られたい」という姿勢が、無意識に相手に伝わってしまうからです。
 自信のなさ、信念のなさが垣間見えてしまい、相手の選ぼうという気持ちが消えてしまいます。

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