私たちは日々、「選ぶ」と「選ばれる」を繰り返しています。しかし現代は、選ばれる意味や基準が複雑化し、表面的なテクニックがもはや通用しません。重要なのは、「信頼できる人間力」であり、成長しながら「選ばれる力」を高めることです。本書『選ばれる人の100の習慣』(井上裕之著/日経BP)では、その具体的な方法を紹介します。今回は「選ばれるために自分を磨く」をテーマに、本書から一部を抜粋し、お届けします。
人生の目的を「ひと言」で表す
「あなたは何のために生きているのですか?」
「生きる目的は何ですか?」
こう質問されたら、どう答えますか?
難しく考える必要はありません。シンプルな言葉でいい。
たとえば、「人を笑顔にすること」とか、「本気で生きること」などでも十分です。
選ばれる人は、人生の目的を明確に持っています。
目的とは、その人の価値観を映す「自分の指針」です。
何となく動いている人には、人も仕事も寄ってきません。
反対に、「自分はこうなりたい」「こんな生き方をしたい」と意識している人は、その方向に向かって一所懸命取り組むから、応援され、選ばれる存在になっていきます。
目的は見つけるものというより、自分でつくるものです。
誰かに憧れる気持ち、自分が感動した経験、心を動かされた出来事にヒントがあります。嬉しかったこと、悔しかったこと、自分が怒った場面。そこには必ず、自分の価値観が反映されています。
そうした経験を振り返ることで、「自分は何を大切にしているのか」「どんな生き方をしたいのか」が見えてくるのです。
目的があると、言葉も行動も変わってきます。
「人を笑顔にする」が目的だとしたら、仕事をするときも、誰かと会うときも、「相手を笑顔にするにはどうすればいいのか」と考えるようになります。
自分が笑顔でい続けるために、健康や食事にも気を配るようになるでしょう。
目的を考えるときは、「シンプルであること」を大切にしてみてください。
短くて深いひと言。誰かに見せるものではないので、かっこいい言葉を探す必要はありません。自分の心が本当に動く言葉を選びましょう。
大切なのは、自分がその言葉に納得し、行動に落とし込めることです。
目的が定まると、人は変わります。
何をするか、どう生きるか、その一つひとつの選択に軸が生まれます。
だから、人生の目的を真剣に考えてみてください。
どんなひと言が、あなたを突き動かすのか。
その言葉が、きっとあなたを選ばれる人へと導いてくれます。
たったひとつの言葉が、人生の軸となって全体をつないでいくのです。
媚びない
「この人に気に入られたら、チャンスが広がるかもしれない」。
そう思ってつい相手の機嫌を取る行動をしてしまった。
そんな経験はありませんか?
人が誰かに媚びるとき、その目的は、「相手に気に入られること」です。
だから、自分の意見や主張は伝えづらくなります。
しかし、魅力的だと思われる人は、自分の考えを持ち、それを誠実に伝える力を持っています。同時に、相手の意見をきちんと受け止めた上で、価値ある質問ができます。
そうした姿勢が、対等な人間関係を築き、信頼の基盤になるのです。
また、誰に対しても対等に接する姿勢を持ちながら、敬意を示すことも忘れません。
相手が立場のある人だからといって、過度にへりくだることもなければ、逆に立場の弱い人だからといって軽んじることもありません。
なぜ媚びる人が選ばれにくいのか。それは、「自分の価値を下げてでも気に入られたい」という姿勢が、無意識に相手に伝わってしまうからです。
自信のなさ、信念のなさが垣間見えてしまい、相手の選ぼうという気持ちが消えてしまいます。
【年間購読で7,500円おトク】有料会員なら…
- 毎月約400本更新される新着記事が読み放題
- 日経ビジネス14年分のバックナンバーも読み放題
- 会員限定の動画コンテンツが見放題