「争いの蒸し返し」という批判は免れない。解決が見通せない対応だ。 2013~15年の生活保護費の大幅減額を違法とした最高裁の判決を受け、厚生労働省は、別の方法で引き下げをやり直す対応策を決めた。減額…
「争いの蒸し返し」という批判は免れない。解決が見通せない対応だ。 2013~15年の生活保護費の大幅減額を違法とした最高裁の判決を受け、厚生労働省は、別の方法で引き下げをやり直す対応策を決めた。減額…
生活保護費の2013~15年の引き下げを違法とした最高裁判決への対応について、厚生労働省は17日、専門委員会(委員長=岩村正彦東京大名誉教授)に報告書案を示し、大筋で了承された。13年にさかのぼり、生活保護基準を引き下げる。その上で、違法とされた基準との差額を追加支給する。 13年の改定前の基準に戻すだけでは追加支給が手厚くなると判断した。再改定によって、追加支給額を抑える考えだ。 二重基準に容認と異論 原告に限って再改定しない案も併記したが、その場合、原告とそれ以外の受給者で異なる基準を適用することになる。 委員の間では二つの基準を設けるのも、やむを得ないという容認論と反対論があった。厚労省は統一見解を導くことを断念し、18日に報告書を公表。結論は政治判断に委ねた。 原告側「紛争再燃」 13年改定前の基準に戻し、すべての受給者に差額を満額支払うよう求めてきた原告側は反発を強める。 弁護団
2013~15年の生活保護費の大幅な引き下げを違法とした最高裁判決を受け、厚生労働省は21日、新たな基準をつくり、違法とされた方法とは別の方法で引き下げをやり直すことを決めた。違法とされたデフレ調整…
国が過去に実施した最大10%の生活保護費の減額処分を違法として取り消した最高裁判決への対応について、厚生労働省は違法とされた引き下げ方法とは別の手法で2・49%の減額改定を再度行う方針を固めた。訴訟の原告については負担に配慮し、違法とされた引き下げ分に相当する給付を別途行う。費用は2000億円規模になるとみられる。関連予算を補正予算案に盛り込む。 最高裁判決は、2013~15年の生活保護費のうち、食費や光熱費などに充てる「生活扶助」の基準額の算定で、物価の下落率を基にした「デフレ調整」が国の専門家部会に諮られていないなどとして違法とした。一方、生活保護世帯と一般の低所得世帯の生活費を比べて見直す「ゆがみ調整」の違法性は否定した。 厚労省は対応を検討するために設置した専門委員会の議論で、改定前の基準にゆがみ調整を反映して受給者に追加支給した場合、基準を決める際の比較対象となる一般低所得世帯の
衆院予算委で立憲民主党・長妻昭氏から生活保護の引き下げが違法と最高裁で確定した件で政府の見解を問われ、陳謝し一礼する高市早苗首相=国会内で2025年11月7日、平田明浩撮影 「さもしい顔をしてもらえるものはもらおうとか、弱者のふりをして少しでも得をしようとか、そんな国民ばかりになったら日本国は滅びてしまいます」 2012年5月、高市早苗氏は保守系議員が集まる研修会での講演で、生活保護利用者の増加に言及。背景に社会構造ではなく利用者のモラルの問題があると言わんばかりの発言をおこなった。 当時は、同年3月に発足したばかりの自民党の「生活保護に関するプロジェクトチーム(PT)」(座長・世耕弘成参院議員=当時、現衆院議員)の活動が活発化していた時期であった。 特にPTメンバーの片山さつき氏は芸能人の親族による生活保護利用を非難するキャンペーンを展開。週刊誌やテレビで「生活保護を恥だと思わなくなった
「永住者でも生活保護の法的権利なし」最高裁判決が残した“課題”…自治体の「裁量」頼みで生じる“外国人保護”の限界とは【行政書士解説】 日本に居住する外国人、特に長年暮らしている永住者や定住者が経済的な困窮に陥った場合、生活保護を受ける法的権利があるのか。また、もし申請が却下された場合、彼らはそれを法的に争う「権利」を持っているのか。 この問いに対し、日本の最高裁判所は、代表的な二つの裁判例を通じて、外国人には生活保護法に基づく受給権がないという判断を下しています。それを代表する有名な判例が、「宋訴訟判決」(2001年)と「永住外国人生活保護訴訟判決」(2014年)です。 なぜ最高裁は外国人を生活保護法の対象外としたのか。そして、現在も外国人が受けている「事実上の保護」という行政措置とはどのようなものか。さらに、昨今の排外主義の高まりの中で、自治体による保護がどのように法的根拠と正当性を示し
厚生労働省は6日、生活保護費の2013~15年の引き下げを違法とした最高裁判決への対応で、当時の減額分の追加支給について、全額ではなく一部にとどめる方向で調整に入った。
奈良県への「生活保護のしおり」の改善申し入れ後、記者会見する「奈良県の生活保護行政をよくする会」の古川弁護士ら(右端)=2025年8月21日、奈良市中筋町の奈良弁護士会館、浅野善一撮影 福祉関係者や識者らでつくる「奈良県の生活保護行政をよくする会」(代表世話人・古川雅朗弁護士)は、福祉事務所を設置する県内自治体の「生活保護のしおり」が正確で分かりやすい情報提供を行っているかどうかを点検した結果をまとめ、8月21日、県に対し、「誤った記載」など「不適切」な内容については改善を指導するよう申し入れた。 「よくする会」はこの日、県への申し入れ後、奈良市の奈良弁護士会館で記者会見を開いた。 「生活保護のしおり」は、生活保護の相談者向けの制度の案内書で、各自治体がそれぞれ作成している。同様の県への申し入れは2022年11月から3度目。今回の点検は、2024年に改定された生活保護問題対策全国会議のチェ
生活保護費減額訴訟の最高裁判決を受け、笑顔で出てくる原告や弁護団ら=東京都千代田区で2025年6月27日、吉田航太撮影 政府が実施した生活保護基準の1割引き下げが最高裁で違法と判断されました。もとは2012年衆院選での自民党公約です。立教大学コミュニティ福祉学部教授の木下武徳さんに聞きました。【聞き手・須藤孝】 ◇ ◇ ◇ ◇ ――裁判で原告は生活保護基準の引き下げで十分な生活ができなくなったと訴えました。 ◆最高裁の判断としては基準を設定した際の行政手続きが違法だったとしていて、その結果としての基準が高い、低いという判断はしていません。 ――なぜ違法とされるような異常な手続きで基準を引き下げたかが問題です。 ◆厚生労働省が基準を引き下げた根拠と説明した計算方法などをみても、あきらかにおかしな手法です。なぜ引き下げ幅は、5%でも15%でもなく10%だったのか。2012年衆院選で自民党が公約
「役所で書類を書いてと言われたけど、どう書いたらいいか分からないまま、生活保護を打ち切られた」。ソーシャルワーカーとして被災地の生活保護利用者を支援してきた金沢市の信耕(しんこう)久美子さん(66)は、昨年12月、奥能登地域の40代女性からの相談に耳を疑った。「財産消失を補塡(ほてん)するお金が、なぜ収入なのか」 女性は持病があり、介護が必要な80代の母親と2人暮らし。昨年1月の地震で自宅が全壊し、避難所を転々とした後、同4月から仮設住宅に入った。受け取った義援金や生活再建支援金は生活用品などの購入に充てたが、今後の生活拠点も見通せないため、約100万円は口座に残した。これが収入と判断されたとみられ、同10月に生活保護の支給が停止、今年2月に廃止された。
厚生労働省は27日、生活保護基準の引き下げを違法とした最高裁判決を受け、減額分を追加支給する検討に入った。立法措置が必要との指摘があり、国会への法案提出も視野に入れている。原告以外も含めた受給者全員を対象にすれば、必要額は最大で数千億円規模に上るとみられ、専門家の意見を聞いて詳細を詰める。 基準は2013~15年に段階的に引き下げられた。当時の受給者は約200万人。厚労省は根拠とした「デフレ調整」と「ゆがみ調整」によって、保護費の支給額が15年度に670億円減ると説明していた。この基準は18年度に改定されるまで使われていたため、減額は累計で数千億円規模になる。 訴訟の原告団は27日、当時の受給者全員に、減額分をさかのぼって支給するよう厚労省に要請した。政府、与党内でも「当時の受給者全員に追加支給せざるを得ない」との認識が広がっている。 最高裁判決は基準引き下げの根拠のうち物価下落を反映する
国が生活保護の支給額を2013年から段階的に引き下げたことについて、最高裁判所は「厚生労働大臣の判断に誤りがあり、違法だった」として処分を取り消す判決を言い渡しました。 同様の裁判は全国で相次いで起こされていて、統一的な判断が示された形です。 原告側は、減額された分をさかのぼって支給するよう求めていて、およそ200万人とされる当時の受給者への国の対応が焦点となります。 目次 専門家「歴史的に意義のある判決」 【Q&A】生活保護費どうやって決める?裁判の争点は? 厚生労働省が2013年から3年にわたり、物価の下落を反映するなどとして生活保護の支給額を最大で10%引き下げたことについて、全国の受給者は「健康で文化的な最低限度の生活を守るという法律に違反している」などとして取り消しを求める訴えを30件あまり起こしました。 このうち名古屋と大阪の裁判について、最高裁判所第3小法廷の宇賀克也裁判長は
「北新地ビル放火殺人事件」容疑者はなぜ“生活保護”受けられなかったのか? “最後の砦”を阻んだ行政の「形式的」判断 2021年12月、大阪・北新地の心療内科クリニックで発生した放火殺人事件は、26人の尊い命を奪い、社会に大きな衝撃を与えました。この痛ましい事件を起こしたとされるA容疑者(男性・当時60代)は事件から2週間後に死亡。その犯行動機は、他者を巻き込んでの「拡大自殺」だったと報じられました。 A容疑者はもともと腕のいい職人でしたが、離婚後に罪を犯し服役。その後社会復帰しようとしたものの職を得られず生活に困窮し、精神の不調をきたし、社会的に孤立していたこと、犯行前に生活保護申請をしていたにもかかわらず、受給に至らなかったことが判明しています。 この事件を「元受刑者による凶悪犯罪」と片付けてしまえば、社会的問題から目をそらすことになります。 なぜなら、A容疑者が経済的に困窮していたにも
生活保護費が振り込まれた通帳を手に当時を振り返る、50代の元受給者=桐生市内で2025年4月4日午後2時3分、遠山和彦撮影 群馬県桐生市の生活保護制度の不適切な運用が発覚してから1年半あまり。市が設置した第三者委員会は今年3月末、組織的な不正と規範意識の崩壊を指摘する報告書を公表。5月には荒木恵司市長らの処分も決まった。不適切な運用の被害者とも言える受給者らは今、何を思うのか。証言を聞きに訪ねた。 「黙って従わざるを得なかった」 職を失い、何とか生き延びようとたどり着いた生活保護申請の窓口。そこで、家までも失うとは思わなかった。桐生市に住む50代の元受給者は、困窮していた当時を振り返り、顔を曇らせる。「職員はいつも高圧的な態度だった。しかし、受給するために黙って従わざるを得なかった」 もともとトラック運転手の仕事をしていた。歯車が狂い始めたのは新型コロナウイルスの流行が始まった2020年。
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