新米の季節、北海道や東北で米を食べる熊が続出している。山にいた熊が餌を求めて集落に出て、米のおいしさを認識したとみられる。田でもみを食べるだけでなく、米倉庫を壊して食い荒らしたり、米袋を持ち去ったりする被害が多発。専門家は出来秋に被害が広がる恐れがあるとして警戒を求める。 岩手県一関市厳美町の山間の集落。4ヘクタールで米を作る菅原富己男さん(71)が、収穫したばかりの新米「ひとめぼれ」が保管される農作業所の戸を鉄製の長く太い棒を横にしたかんぬきで施錠しながら言った。「バリケードを作った。新米を熊から守るためにこっちも必死よ」。夜は農作業所の前に軽トラックを駐車し、24時間ラジオを大音量で流す。 菅原さんの農作業所がある住宅敷地内のすぐ裏は、熊が潜む山林だ。8月上旬、農作業小屋の扉を開けて熊が侵入。小屋内に置いていたスチール製の米保管庫が倒され、中に入れていた30キロの米袋二つが引き出された