[go: up one dir, main page]

2025-05-07

anond:20250506202140

2025年5月7日、ワイの日記やで。

昨日の午後、ワイは谷の縁からフェミちゃんを連れて、なんとか家まで戻ってきた。彼女は終始無言やったが、抵抗もせんかった。ただ、歩くときの足取りがやけに均一で、機械仕掛け人形みたいやった。ゴミーはワイの後ろをふわふわと飛びながら、何度もフェミちゃんの顔をのぞき込んでいたけど、そのたびに目を伏せるようにして飛び去っていた。

その夜は、妙に重たい眠気に襲われて、布団に入るやいなや意識が沈んだ。夢の中でワイは、滑稽な仮面かぶった連中に囲まれた。みな口々に笑いながら、「女神はまだ覚めない」「女神はまだ溶けてない」と唱えてた。その笑い声が、次第に地鳴りに変わって、ワイの足元が割れていく。最後フェミちゃん仮面を外して、まったく知らん顔でワイを指差して笑った。

汗びっしょりで目を覚ました瞬間、部屋の中は妙に静まり返っとった。そして、寝返りを打とうとしたワイの視界に、光を反射する銀の線が映った。フェミちゃんや。立ったまま、無表情で、片手にナイフを持って、ワイをじっと見とる。

咄嗟に身を起こそうとしたそのときポケットに入れていたスーリヤの針が、唐突に激しく発光した。白金色の光が部屋中に満ちて、まるで太陽の破片が室内で爆ぜたみたいやった。その光がフェミちゃんの手元に届いた瞬間、彼女の体が一瞬ぶるりと震えて、ナイフを取り落とした。

フェミちゃん!」

呼びかけたが、彼女はそのままくたりと崩れ落ちた。ワイは駆け寄り、倒れた彼女の肩を抱き起こした。体は温かい。でも、その目は閉じたまま、口元はかすかに何かを呟いとるようやった。

ゴミーが部屋の隅から羽ばたきながら近づいて、ワイの足元にとまった。静かな光だけが、まだ床に残って揺らめいてたんやで。

記事への反応 -
  • 2025年5月1日、ワイの日記やで。 目ぇ覚ました瞬間、天井の模様でピンと来た。ここ、セリアタウンの吹き抜けじゃない。古びた漆喰と丸い照明――地球で暮らしとった頃の実家の天...

    • 2025年5月2日、ワイの日記やで。 フェミちゃんは食後にゆるゆると伸びをして、茶をすすりながら「なんや、あんたの話、ほんまに百年モノやったな」と笑った。ワイは未来で起こる...

      • 2025年5月3日、ワイの日記やで。 朝、フェミちゃんの姿がなかった。布団はきちんとたたまれていて、湯呑みには昨晩の緑茶の残りが冷めたまま残っとった。最初は、また早朝散歩で...

        • 2025年5月5日、ワイの日記やで。 昨日の屈辱を引きずったまま、今日も朝から山道を歩いた。ズボンは替えてきた。ゴミーは何も言わんが、あの小さな目にちょっとした哀れみの色が...

          • 2025年5月6日、ワイの日記やで。 朝から霧が出とった。白い靄が山の斜面を這うように流れとって、空気はぴんと張りつめとる。ゴミーも今日はやけに静かで、ワイの肩に乗ったまま...

            • 2025年5月7日、ワイの日記やで。 昨日の午後、ワイは谷の縁からフェミちゃんを連れて、なんとか家まで戻ってきた。彼女は終始無言やったが、抵抗もせんかった。ただ、歩くときの...

              • 2025年5月8日、ワイの日記やで。 今朝は久々に、静かで穏やかな朝やった。昨夜倒れたフェミちゃんは、目を覚ましてから少しの間ぽけーっとしてたけど、だんだん普段の調子を取り...

                • 2025年5月9日、ワイの日記やで。 昼過ぎ、ちょっとした買い出しのつもりで商店街まで出かけたんやけど、なんや今日は街の雰囲気がおかしかった。いつもは閑散としてる通りに、突...

        • 2025年5月4日、ワイの日記やで。 朝から腹の具合が怪しかった。昨日の夜、緊張と焦りでろくに食うてへんかったし、睡眠も浅かった。ゴミーはいつも通り「ぽふっ」とワイの腹の上...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん