日本各地のクマ被害や目撃情報、自治体の対策などについて紹介する。
クマに襲われた83歳女性「頭だけは守ろう」と防御姿勢…致命傷負わずに助かる
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クマに遭遇した場合には、顔や
伊藤さんは13日午前5時半頃、自宅敷地内で、牛舎の床に敷く米ぬかを準備していた。すると、すぐ左側に突然クマ(体長約1メートル)が現れた。伊藤さんはとっさに、「頭だけは守ろう」と、首を手で覆ってうずくまった。
クマは覆いかぶさってきて、片手で背中をひっかいた後、すぐに離れた。おそるおそる顔を上げると、クマは一瞬止まった後、山の方向へ姿を消したという。
伊藤さんは背中や右腕に傷を負い、うずくまる際に地面に打った左腕を骨折した。
近所の住民とは、クマが出た際は首を覆う姿勢がいい、と話していた。それでも、防御姿勢を取れたのはたまたま「しゃがんで作業していたから」と冷静に振り返る。敷地内では牛の飼料(約20キロ)がほとんど食べられていた。「腹がいっぱいだったから長時間襲われずに済んだ」と語る。寒くて厚着していたのも、浅い傷で済んだ要因だったと考えている。
山麓の集落のため、クマはしばしば見かけていた。だが、「クマに襲われるなんて思ってもみなかった」。被害直後、「年齢とけがを考えると続けるのは難しい」と考え、飼育していた牛を知人に譲り、畜産業をやめたという。(田中大貴)