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被爆地で議論「重要だった」

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首相 岸田文雄さん 66

インタビューに答える岸田首相(10日、首相官邸で)=川口正峰撮影
インタビューに答える岸田首相(10日、首相官邸で)=川口正峰撮影

 被爆地として初めて、広島市で昨年5月19~21日に開かれた先進7か国首脳会議(G7サミット)から間もなく1年。平和の発信、核兵器廃絶、おもてなし、広島の魅力を伝えること――。歴史的会議の実現に貢献した人々を、広島テレビ放送との共同インタビューを通じて紹介する。

 昨年5月21日、サミット閉幕後の議長国記者会見で、岸田氏は「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持し、平和と繁栄を守り抜く決意を世界に発信する上で、広島の地ほどふさわしい場所はない」と強調した。

 初日の19日午前、各国首脳はそろって広島平和記念資料館(広島市中区)を訪問。館内での様子は非公開だったものの、40分ほど滞在した。遺品の三輪車や焼け焦げた制服を見学し、8歳の時に広島市内の自宅近くで被爆した小倉桂子さん(86)の話を聞いた。「G7のみならず、グローバルサウスと言われる招待国を含めた多くの国々のリーダーに、被爆の実相に触れてもらう機会を持ってもらったことは重要だった」と振り返る。

 サミットでは、ロシアの侵略を受けているウクライナのゼレンスキー大統領が電撃的に広島を訪れ、G7各国や招待国の首脳らに直接、支援の必要性を訴えた。「力による一方的な現状変更は許してはいけない。国際法を犯して侵略を受けている国のリーダーに対面で参加してもらい、その思いと実情を訴えてもらったことは、議論の重みを得る上でも大きなことだったのではないか」と手応えを語る。

 一方、長期化するロシアのウクライナ侵略に加え、北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射など、核兵器の使用を巡る国際情勢はなお厳しい。「核保有国も含め、(核軍縮に向けた)テーブルに着かせることはより重要になっている」との認識を示した。

 サミット後の具体的な取り組みとして、日本は昨年9月に核実験全面禁止条約(CTBT)の発効促進会議で「国際社会にとって喫緊の優先課題」と強調したことや、核兵器の原料となる核物質の生産を禁止するカットオフ条約(FMCT)の交渉開始に向けた賛同国のグループ「FMCTフレンズ」創設を表明したことを挙げ、「核兵器のない世界を再び目指していくために、現実的な取り組みとして重要だった」と評価する。

 今月21、22日には、各国の有識者らが核軍縮の具体策を議論する「国際賢人会議」の第4回会合を横浜市で開催する。核兵器保有国を含め、核軍縮に向けた議論のテーブルに着かせる取り組みの一つだ。「日本は唯一の戦争被爆国として、しっかりリードしていかなければならない」と気を引き締める。

 今後は、核軍縮に焦点を当てたG7サミットで初めての独立文書「広島ビジョン」を土台としながら、核戦力の透明性向上などを求める行動計画「ヒロシマ・アクション・プラン」を具体的に進めていく方針だ。被爆地を訪れ、被爆の実相に触れてもらうことから、全ての取り組みが始まると考えている。「責任を持って取り組まなければならない」と力を込める。

(聞き手・三島浩樹)

  きしだ・ふみお  1982年早稲田大法卒、日本長期信用銀行(現SBI新生銀行)入行。父・文武衆院議員の秘書を経て、93年7月の衆院選で初当選した。外相や沖縄・北方相、自民党政調会長を歴任し、2021年10月に首相就任。衆院広島1区。当選10回。

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5354924 0 サミットから1年<読売新聞×広テレ> 2024/05/14 05:00:00 2024/05/14 05:00:00 2024/05/14 05:00:00 /media/2024/05/20240513-OYTAI50028-T.jpg?type=thumbnail

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