[猫学]よみうりカルチャー「猫とAIMの未来像」(下)~猫史に刻まれる猫薬の誕生
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医学者の宮崎徹さんが手がける猫薬は、それが実現すれば、猫の歴史で革命的な出来事になります。よみうりカルチャーの公開講座「猫学(ニャンコロジー)」で、宮崎さんは猫薬について様々な質問に答えてくれました。
一見するとまったく普通
――ここからは質問をいくつか、させていただきます。まず、腎臓病はどんな病気なのか、改めて教えてください。
宮崎
はい。多くの腎臓病が、
――腎臓病の症状は?
宮崎 尿検査の項目にあるクレアチニンの数値が上がっていれば、腎臓病が進んできている証拠です。とはいえ、初期の頃は猫でも人でも、いたって元気で、ご飯も食べられるし体重も減らないし、一見するとまったく普通なのです。なぜなら腎臓は常に100%働いていなくても問題のない臓器だからです。
ただ、腎臓の機能がだんだん悪化していって、その機能が20~25%以下になってしまった場合、言い換えると75~80%の機能が損なわれてしまえば、一気に体の中に毒素がたまっていきます。その結果、ご飯が食べられなくなったり体重が減ったりする末期腎不全に至ります。尿毒症を伴うため、人であれば透析をしないと生きていられない、ということになるのです。
これまで腎臓病の進行を止める治療は、猫でも人でも基本的にありませんでしたし、ひとたび末期の状態になってしまうと、元の状態に戻すことはできず、手の施しようがないというのが現状です。
治療は2027年1月頃から
――本当に画期的な治療薬ということですね。受講者の皆さんが聞きたいことの一つが、猫薬による治療が受けられるのはいつなのか、ということだと思います。
宮崎 はい、それは皆さんが関心を持たれている点だと思います。2024年に、いわゆる治験の最初のフェーズである非臨床試験を実施します。その後は、臨床試験、承認申請と審査を経て、承認――というプロセスが必要です。臨床試験は腎臓病の進行具合が同じステージの猫を対象に、最低30匹で行います。実際に薬を世に出せるのは、2027年1月前後を目指しています。
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