イランの核施設攻撃なら「核武装も選択肢」…イラン元外相が異例の言及、イスラエルをけん制か
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【テヘラン=吉形祐司】イランの最高指導者アリ・ハメネイ師の助言機関「外交関係戦略評議会」は9日、イスラエルがイランの核施設を攻撃すれば、核武装の選択肢もあるとするカマル・ハラジ議長(元外相)のインタビュー内容を公表した。核兵器保有を一貫して否定するイランの要人が、方針転換に言及するのは異例だ。
発言は、イスラエルに対するけん制とみられる。イスラエル側の警戒が強まり、両国の緊張が一層高まる可能性もある。
公表されたのは、中東の衛星テレビ局アル・ジャジーラがこの日報じた会見の一問一答。ハラジ氏は、イスラエルがイランの核施設に損害を与えれば「抑止のレベルが違ってくる」と指摘。「これまで、通常(兵器)レベルでの抑止を経験してきたが、イスラエルがイランの核施設を攻撃するのならば、おのずと核理論は変わってくる」と述べた。
イランは核兵器保有の意思を否定する一方で、兵器級に近い濃縮度60%のウラン製造を続けている。ハラジ氏は「イランは核爆弾の製造能力がある」との自身の過去の発言に触れ、「今も能力はあるが製造は決定していない」と語った。
イランとイスラエルは先月、双方の領土を初めて直接攻撃した。イスラエル側は核施設のあるイラン中部イスファハンを標的にしたとみられており、両国間には過去とは次元の異なる軍事的な緊張が生じている。