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マフラーしまい髪研究所

@mafumaken / mafumaken.tumblr.com

マフラーしまい髪研究所(マフま研)とは、髪の毛がマフラーにしまわれている様子に名前を付け、分類し、考察する機関である。ただし、活動は広瀬香美並みに冬に限られる。

みだれ髪 - midare-gami

髪がボッサボサになりつつも、マフラーにしまわれている様子。基本的には、髪がランダムに出たり入ったりしているしまい方を指すが、決まった型があるわけではなく、分類しづらいような特殊なしまい髪も、みだれ髪に含める、というのが協会の見解である。

みだれにはもちろん理由があり、やだ、寝坊しちゃった。急がなきゃ、最低限のお化粧だけして、朝ごはんは抜きで、えーと、荷物はこれでオーケーでしょ、とりあえず出よう!あー電車来てる!しょうがない、走ろっかな、やだなー、でも走ろー、的なストーリーを感じることが出来て、非常に味わい深いしまい方である。

そして、その急ぎが、焦りが、自然な無防備さというしまい髪の魅力につながっていくのである。そう、このしまい方は、愛でる側一人一人の想像力によって幾通りもの魅力を露わにするのだ。そういった意味で、一部のマニアには熱狂的に愛されているしまい方であり、みだれ髪以外はしまい髪として認めない、という過激派も存在する。

遭遇率も低くなく、見つけやすいしまい髪なので、初心者にもオススメしたい。

貞子スタイル - sadako-style

なにがどうして、こうなってしまったのだろうか。しまい髪業界内においては非常にコンセプチュアルな型であり、保守派からは全く受け入れられていない。

基本的なしまい方としては、前髪や横髪を前に流し、すかさずマフラーにしまう、という手順を踏むが、日常生活に全く適しておらず、まるで芸術作品のような佇まいには、しまい髪愛好者の中でも困惑の声が上がっている。

映画の中に出てくる貞子は、髪で顔が見えない分、想像力が恐怖を増すという特性があるが、このしまい髪には、ふざけているのか、アートなのか、ただ寒いのか、寝ていていたずらされたのか、それとも自然とこうなったのか、自由に、それぞれの物語を想像して楽しむことができる。

しまい髪に作品性を求めるか、自然のさりげなさを求めるかによって、評価が別れるが、作品性の追求があたらしいしまい髪の開拓につながることは、誰にも否定できない。今は、その先鋭的な造形のため、街中で見かけることはまずないだろう。しかし、いつか自然なスタイルとして受け入れられるのかもしれない。およそこの世界に存在する全ての文化は、そうやって大衆化してきたのだから。

スクリュードライバー - screw driver

髪がマフラーにスクリュー状に巻き込まれた様子。マフラーを巻く手に力がこもってしまったのであろう。それくらい寒いか、急いでいたのか、あまり丁寧にマフラーを巻くシチュエーションではなかったと思われる。

マフラーと髪の間のアーチは見られず、アーチ部分にこだわりを持つしまい髪右派からは評価を受けない型であるが、花蕾やコートしまい髪などのストレートにしまわれる髪に感じるものがある愛好者には魅力が分かるであろう。

右巻きと左巻きがあるが、統計では右巻きの方が圧倒的に多い。これは、右利きの人間がマフラーを右巻きにするからと考えられている。よくよく見ると、和服に髪をまとめ上げている女将のようにも見え、その線が好きな者にも、新たな愛で方を提案している事が興味深い。

しまい髪急進左派内での評価は高く、しまい髪の概念を広げる存在として期待が高まっている。急ぎ足の女性が多い街、東京で言うと、新宿、恵比寿、品川などで見られることがある。本人としては一部の隙も見せていないつもりが、無防備さの固まりが後頭部付近に存在しており、このギャップに、しまい髪愛好者は頬が緩んでしまうのだ。

ヘビ女 - hebi-onna

しまわれたはずの毛先がマフラー下部よりはみ出している様子が、まるでヘビのようであることから名付けられた。さらに、このようなはみだし方は、はっきり言って邪道であり、マフラーしまい髪の精神に反するのではないか、という疑問も込めて、このような若干悪意あるネーミングとなった。

しまい髪の精神とは何か。それは言うまでもなく、無防備で自然な愛らしさである。故意にしまってはいけないのだ。作為的なしまい髪は、ただあざといだけで、胸を打つものがない。まるで台本通りの芝居を見せられている気分になる。ああ、くさくさする。

しかし、ここで難しいのは、わざとかな?知らんとかな?どっちかな?程度のあざとさは、逆にしまい髪の魅力を高めてくれる事例もある、ということだ。これについては、まだまだ研究の余地がある。

とはいえこのヘビ女。マフラー下部に視線を集めるという点において、しまい髪の中でもかなり特殊な愛で方を要求する変種であり、研究対象としては興味深いものがある。決して純粋種ではないが、目が離せないという意味では、他のしまい髪に負けずとも劣らないのである。

はみだしまい - hamidashimai

その名の通り、しまわれた髪がマフラー下部よりダイナミックにはみだしている様子。しまい髪の造形的な良さである、マフラーに向かう髪のアーチや、毛先が見えないことによる想像力の発露は全く発生し得ず、ただそこにあるままを見てくださいと言わんばかりの投げやりなものも感じてしまう。

そのあまりに幼い態度に、しまい髪研究者としての触手が伸びないことについては、どうかご容赦いただきたい。研究者も人間である。好き嫌いによって大きくモチベーションは上下するのだ。

しまった途端にはみだして、なんかもうがっかりしてしまう。何のためにしまったのか、小一時間ほど問い詰めたい。一言で言うとだらしないのだ。親だったら叱責しているだろう。こらこら、そんなはみだしまいはやめて、花蕾、またはコートしまい髪にでもしなさい。やだ!パパったら古いんだから。今はコレが流行ってるの。学校でもみんなはみだしよ。何を言っている、周りに流されちゃいかん。パパはそんなしまい髪認めないぞ。的な想像をしてしまう。そんなしまい髪である。

天使の忘れもの - tenshi-no-wasuremono

髪をマフラーにしまうつもりなんてなかった。だって、髪が静電気でまとまらないし。そんな女の子が、ついうっかり一束の髪をしまっている状態、それが、天使の忘れものである。

無防備さ、無意識感、自然な愛らしさ、精神的にはどれをとっても一級品のしまい方であり、天使の名に相応しいと言える。惜しいのは、造形的にしまい髪の美しさをあまり味わえないことである。だがそれがいい、などと強がる猛者もいるが、かなり渋い好みである。街中ですれ違っても、ほぼ気がつかないであろう。じっと見過ぎて、怪しまれる恐れもあるため、節度をもって観察したい。

しまい髪の中では最右翼に位置する無防備さ故に、意識的にしまい髪を使いこなすしまい髪左派からは疎まれている可能性が高いことも申し添えておこう。

しかしながら、しまい髪を愛でていない人でないと気がつかない、冷凍都市における一握りの奇跡に、神の存在を意識せずにはいられない。これもまた立派なしまい髪であることを、ここに高らかと宣言する。しまい神よ、ありがとう。

コートしまい髪 - coat-shimai-gami

「マフラーがないなら、コートにしまえばいいじゃない。」と誰かが言った。その名の通り、コートの襟部分に髪がしまわれた状態を指す、特殊なしまい髪である。

髪をほどいた瞬間の女子にドキッとするあの感覚を反転させたような、驚きのあるしまい方であり、いい意味での違和感を感じることができる。髪の毛先が見えないことによって想像力が刺激され、物語が生まれる。

余談だが、衣服のカタログなどに登場する「トレンチコートを着て振り返り気味の角度でこちらを見て笑顔の外人女性」の大半が、髪をコートにしまっている。これはトレンチの売りである襟をよく見せる意図であると思われるが、むしろしまい髪に注目してしまう。

マフラーにしまわれていない限りマフラーしまい髪ではない。と主張するしまい髪右派も存在するが、この場合のマフラーとは、しまい髪を存在せしめるための媒介であり、言わば概念上の言葉である。大切なのは髪がしまわれていく過程と無防備さであることをゆめゆめ忘れないでいただきたい。

比較的街中での遭遇率は高く、フードしまい髪、ダウンしまい髪など派生系も多く見られる。各々探してみて欲しい。

エアポケット - Air Pocket

マフラーにしまわれる髪がふわりとアーチを描き、髪束にいくつかの隙間が生まれた時、降りてくる奇跡。それが、エアポケット。髪と髪の間から光が漏れ、干渉し合い、輝きが倍加される。

髪に隙間が生まれるには、しまわれる際の髪とマフラーの角度や、かかる力に絶妙なグラデーションが存在することが必要となり、決して狙ってできるものではない。そして、この偶然性こそが、無防備と無意識というしまい髪の本質に迫ってくるため、最も人気の高いしまい髪として崇められているのだ。マフラーのしまい方に優劣はないが、エアポケットを発見した際の心の昂ぶりは、他にはない、特別なものがある。

愛で方について、このしまい髪特有の楽しみがある。ポケット部分から、髪の向こう側の景色を覗き見ることができるのだ。冬の青空が透けて見えるしまい髪は、一刻も早く特別天然記念物に登録したいものである。

唯一の欠点としては、日常生活の中でお目にかかることは殆ど無い点であり、出会いの奇跡を願うしかないという現実は、マフラーしまい髪研究者にとっての悲劇であろう。

ラルクアンシエル - l'arc-en-ciel

髪の一束が頭上に弧を描いて、マフラーにしまわれていく様子。花蕾の派生系とも考えられる。その時は奏でて想いはあふれる的な造形美が雨上がりの空にかかる虹のようであることから名付けられた。

ここで問題になるのは、完全にこれわざとやろ、普通にしてたらこんなん絶対ならんやろ、とつっこみたくなるくらいの狙った感がある作為的な造形であるが、ここは目をつぶって純粋に冬の奇跡を楽しむのが大人の嗜みであり、粋であると言えよう。

やや2次元的アニメ的オタク的な要素も感じることができ、好き嫌いの分かれるしまい方ではあるが、決して非現実的存在とも言い切れない。と言うのも、多少の髪束が円弧を描く事例が、若干数ではあるが報告されているためだ。

数あるしまい髪の中でも背景色に映える型であり、そのDIVE TO BLUEな美しさのHONEYに気分はDRIVERS HIGHとなり、心にFLOWERが咲き乱れ、乾いた風をからめてあなたを連れてきたくなることうけあいである。

ただ、自然発生的に観察するのは非常に難しいため、あまり深入りせず、運よく遭遇できることを願うくらいにとどめておいた方が賢明である。

ツインテール - twin-tail

ツインテールという髪型がある。

初音ミクなどにも採用され、一部熱狂的な愛好者がいることで知られており、「遠く淡い、恋い焦がれた日の記憶を呼び覚ますヘアスタイルがこの国にはある。敢えて言おう、ツインテールであると。」(日本ツインテール協会宣言文より)と言われたりもしているが、しまい髪におけるツインテールとは、ただ単に、左右両側から髪がはみだしており、真後ろの毛束がしまわれている状態を指す。

実は、この形状は、しまい髪を楽しむのにうってつけなのである。そもそも、しまい髪の愛で方は、マフラーに持ち上げられた髪と重力とのバランスの中で、曲線に曲線が掛け合わされた時の神秘的数学的美しさと、女の子の肉体的精神的美しさとが化学反応を起こした末に生まれた奇跡を感じるものであるが、ツインテールは、両側の髪が垂れ下がっていることによって、結果的に真後ろのしまい髪部分に集中して向き合うことができるのである。

そしてティモテとの決定的な違いは、現実的にあり得る「自然」な状態であるということ。寒い日に街を歩いてみて欲しい。きっとそこに、もうひとつのツインテールが待っている。

ティモテ - tomotei

右か、左か、どちらか片いっぽうの髪が、マフラーから「はみだしている」様子。草原を流れる小川のような、爽やかなマフラーしまい髪である。(余談だが、シャンプーのティモテは再び日本で販売されるらしい。)

マフラーしまい髪の愛で方としては、髪とマフラーのクロスポイントに注目するのが正しい作法なのだが、こういった「はみだし」を楽しむ場合は、マフラーと、しまわれる髪と、はみだす髪、これら3つの要素のバランスを味わうべきであろう。

形状としては美しさと清楚さを兼ね備えており、品格さえ感じられる優等生的なしまい髪なのだが、ひとつ疑問なのは、片側だけはみだすということが、自然な動きの中でありえるのだろうか、という点である。

もしかしたら、片側だけ、あえてはみださせているのではないだろうか。そして、その様子をわざと見せているのではないだろうか。そう考えると、マフラーしまい髪の一番の魅力である、無防備さ、狙いのない自然な愛らしさが失われてしまう。しかしながら、「この際もうどっちでもいいや」と思わせてくれるくらいの完成度の高いしまい髪であることもまた、事実なのである。

花蕾 - hana-tsubomi

すべての髪がマフラーにしまわれている様子。まるで、春の開花を待つ蕾のような可憐さを感じることができる。防寒に優れていると同時に、口元を隠すことによる可愛さも醸し出す事が出来るため、主に若年層女子が無意識(または意識的)に多用するスタイルである。

歯科衛生士のお姉さんがセクシーに見えるのは、マスクで口が隠されているから、という説があるが、それと似たフェティシズムがそこはかとなく漂うのも、またをかし、である。

もちろん、最も注目すべきなのは、髪とマフラーのクロスポイントであるが、マフラーしまい髪特有のカーブやアーチを楽しむというよりも、むしろストレートにマフラーに向かって落ちていく髪の純粋さ、森の中をかきわけて進んだ時に出会う小さな滝のような清冽さ、を味わうべきであろう。

マフラーしまい髪そのものは、よくよく観察すると街中にけっこう溢れているものではあるのだが、すべての髪をしまった花蕾スタイルは、なかなかお目にかかる事がなく、貴重な存在と言える。今後も廃れる事なく続いてほしいスタイルである。

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