高市早苗首相の10月24日の所信表明演説でやじを飛ばした立憲民主党議員の行為が、激しい議論を呼んでいる。
ネット上では、やじは審議を妨げる不適切なものだとみる意見も目立つが、議会でのやじ自体は古くからあるものだ。そもそも、やじは「悪」なのだろうか。国会審議と切っても切れないなら、どんな作法が求められるのか。
昭和末期から平成にかけての政界で「やじ将軍」と呼ばれていた自民党のベテラン、鈴木宗男参院議員(77)に聞いてみた。(聞き手・大野暢子)
〈昭和末期の国会では、鈴木宗男、松田九郎、東力の3衆院議員が「国会の3大やじ将軍」と呼ばれたほか、「ハマコー」の愛称で親しまれた浜田幸一衆院議員も激しいやじで知られた。〉
◆立憲民主党議員の不規則発言に「あれは、やじじゃない」
──今回の騒動をどうみますか。
やじは昔から「演説の華」です。やじとは、当意即妙にポイントをついた不規則発言。短さと分かりやすさが命です。
今回問題になった場面を映像で見ましたが、あれは、やじじゃないですね。何を言ってるかよく分からないし、肝心の審議が聞きづらい。やじではなく「やじ馬」の類いとみられては、政治家としていけません。
〈高市早苗首相の所信表明演説のニュース映像などから、立憲民主党の若手議員2人がやじを飛ばしていたと「特定」され、ネット上などで激しい中傷が起きている。政治家のSNSでも「あのやじが仕事になる。国会議員の定数大幅削減だよ」(日本維新の会の吉村洋文代表)などと批判が相次ぐ一方で、やじの意義を説く声も上がる。〉
──自身も若手時代はやじを飛ばしていたそうですね。
昔は「やじ将軍」と言われていました。
昭和から平成初期にかけては日本社会党が強く、自衛隊は違憲だなどの主張を展開していました。私は社会党議員らの演説に「時代遅れだ」とか「間違っている」と大声で反応していました。
ただ、相手の話を遮らないことと、登壇者のプライバシーや身体にかかわるやじを言わないことは守っていました。
──当時のやじは、現在と比べてどうでしたか。
与党も野党も、昔よりは静かになりましたね。先日問題になった所信表明演説へのやじも、おとなしいものです。
1986年、衆院本会議で社会党の川崎寛治さんの演説中にやじを飛ばしていたら、川崎さんに壇上から「鈴木君、だまれ」と怒られました。自民党や議長からは怒られませんでした。
ただ、川崎さんは議長から...
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