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中国の平和維持部隊派遣は「実現可能性低い」 露ウクライナ停戦協議でセトン駐日仏大使

インタビューに応じるフィリップ・セトン駐日フランス大使=東京都港区(梶山裕生撮影)
インタビューに応じるフィリップ・セトン駐日フランス大使=東京都港区(梶山裕生撮影)

フランスのフィリップ・セトン駐日大使が都内で産経新聞のインタビューに応じた。ロシアとウクライナの戦闘終結後、ウクライナの「安全の保証」実現を目指し協議している有志国が34カ国に上ると指摘。トランプ米大統領が欧州首脳らに提案したとされる中国のウクライナへの平和維持部隊派遣について、実現の可能性は低いとの見方を示した。

「アラスカ会議は時間稼ぎ」

セトン氏は、プーチン露大統領が8月の米アラスカでの米露首脳会談後も和平に消極的であることに関し、「要は、アラスカ会談実施はプーチンにとって、一つの作戦、時間稼ぎの作戦だった」と指摘。プーチン氏がウクライナのゼレンスキー大統領との会談を拒絶しているばかりか、「ウクライナへの攻撃はむしろ、激しくなっている」と非難した。

プーチン氏の政治姿勢について、「帝国主義的、歴史修正主義的なもので、彼の論理は『力ずくで自分が欲する物を手に入れる』というものだ」と断罪。これは「(西側の)外交や政治が目指す方向とは全く相いれない」と力を込めた。

プーチン氏がウクライナ東部ドンバス地方(ルハンスク、ドネツク両州)の割譲を求めていることについては「主権国家の領土を力ずくで奪うのは許容できない」と一蹴。ロシアが2014年、ウクライナ南部クリミア半島を一方的に併合したことに関し「私たちは一度たりとも、承認したことはない。今後、いかなるウクライナ東部地域の併合も承認しない」と述べた。

有志国会合に34カ国

マクロン仏大統領は9月4日、停戦実現後に部隊派遣など軍事的貢献を行う有志国が仏英など26カ国に達すると発表した。セトン氏は「(26カ国は)陸海空で支援すると明示した。部隊が前線の後方で抑止力を発揮する間、ウクライナ軍の再生を目指す」と言明。直近の有志国会合には34カ国が参加したとし、多くの国々が和平実現に力を尽くしていると述べた。

英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は8月末、トランプ氏が同月中旬に欧州とウクライナ首脳に対し、中国部隊の派遣を提案したと報じた。セトン氏は「そうした想定はあり得ない。有志国会合で中国部隊派遣の議論はされておらず、(派遣の)可能性はかなり低い」と強調。「プーチンに対する中国の影響力で、ロシアを和平交渉のテーブルに着かせてほしい」と中国に呼びかけるとともに、「公正で永続的な平和が実現することを望む」と述べた。(黒沢潤)

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