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サッカー日本代表、W杯はアウェー連戦の11月がヤマ場

サッカージャーナリスト 大住良之

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森保一監督率いるサッカー日本代表は、10月にアウェーでサウジアラビア、ホームでオーストラリアと対戦し、1勝1分けで2026年ワールドカップ(W杯)のアジア最終予選(3次予選)C組首位を堅持した。

これまで勝ったことのないジッダでのサウジとのアウェーゲームは、厳しい試合だったが、前半に守田英正(スポルティング)のアシストで鎌田大地(クリスタルパレス)が先制点を挙げ、後半にも伊東純也(スタッド・ランス)の右CKを小川航基(NECナイメヘン)が頭でたたき込んで2-0という快勝だった。

埼玉スタジアムに戻っての豪州戦は、後半に谷口彰悟(シントトロイデン)のオウンゴールで先制を許したものの、中村敬斗(スタッド・ランス)が左からゴールライン沿いまで入って中央に送ったボールを相手DFキャメロン・バージェスがクリアしきれずオウンゴール。1-1で引き分けた。

9月の中国戦(7-0)とバーレーン戦(5-0)を含め、4試合を戦って3勝1分け、勝ち点を10とした日本は2位以下を大きく引き離し、首位を守っている。

「勝っているチームは変えるな」のセオリーどおり、森保監督はこの4試合をすべて3バックを使った3-4-3のシステムで押し通し、先発の入れ替えもほとんどなかった。

4試合連続で先発した選手がGK鈴木彩艶(パルマ)を含めて9人。先発の入れ替えは、久保建英(レアル・ソシエダード)と鎌田を2試合ずつ使ったことと、豪州戦を前に体調不良となった主将の遠藤航(リバプール)に代わって田中碧(リーズ)が出場したことだけで、他は不動だった。

通常なら守備力の強い選手を配置する左右のウイングバックに、三笘薫(ブライトン)と堂安律(フライブルク)という攻撃的な選手を起用したのが、この4試合でのポイントだった。今年1〜2月のアジア・カップ(カタール)で露呈したロングボールを多用されたときの弱さを、3人の長身選手(板倉滉=ボルシアMG、谷口、町田浩樹=サンジロワーズ)を並べることで解消するとともに、攻撃時には「5人FW」のような形になってサイドから切り崩そうというのが森保監督の意図だった。

サウジ戦までの3試合では、それが実を結び、自在に切り崩して3試合で14得点、失点0で3連勝とライバルたちを圧倒した。しかし、豪州戦では相手が守備を固めるなか、なかなか切り崩せずに交代で伊東と中村を送り込んでからようやく決定的なチャンスが生まれるようになった。

攻撃陣にそれまでの試合で見せた鋭さがなく、ボールコントロールの小さなミスやコンビネーションのわずかなズレもあった。それらは連戦と移動の疲労が生んだものだろう。森保監督が交代のタイミングを間違え、結果として交代枠を4人しか使わずに、限界に近かった三笘を代えきれなかったこと、前田大然(セルティック)を投入できなかったのも響いた。

サウジ戦は高温多湿の厳しいコンディション下の試合だった。それでも日本選手は走り勝ち、守備時の集中もまったく切れることがなかった。試合の数時間後には6時間の時差のある日本に向かった。チャーター便を使ったとはいえ、14時間近くのフライトの負担は小さくなかったはずだ。

11月の2試合(15日インドネシア戦、19日中国戦)はいずれもアウェーとなる。本来なら14日に開催するはずだったインドネシア戦は、相手協会との合意で1日延ばして15日開催となった。

日本もインドネシアも、欧州のクラブに所属する選手が主体のチーム。彼らのコンディション調整のためという点で両協会の意図が一致した。だが、引き換えに19日の中国戦までは「中3日」となった(インドネシアの11月はホームでの連戦)。10月に起こった「2試合目のコンディショニング問題」を考えても、これまで通りに先発は不動という形ではなく、2試合をセットにしてどのように戦うか、綿密なプランが必要になるだろう。

インドネシアは4節を終えて3分け1敗。アウェーでサウジと1-1、ホームで豪州と0-0、そしてアウェーでバーレーンと2-2で引き分けた後、アウェーで中国に1-2で敗れた。3次予選が始まる前には国際サッカー連盟(FIFA)ランキング133位と、C組のなかでは最も低かったが、4試合とも内容は良く、勝ち点を積み重ねるごとに自信をつけてきているように見える。

主力は、オランダを中心とした欧州で生まれ育ち、欧州でプロとして活躍している選手たちだ。過去2〜3年の間にこうした選手を発掘し、インドネシア代表入りを説得してきたことが実を結び始めている。

GKマールテン・パエスはオランダU-21代表の経歴を持ち、現在は米国プロリーグのダラスでプレーしている。この3次予選を前にインドネシア代表資格が認定され、デビューしたばかり。反射神経の良さでシュートを止めまくり、快進撃の立役者となっている。DFラインには長身のオランダ出身選手が並び、攻撃陣ではオランダ生まれの21歳のFWラファエル・ストライクがスピードとシュート力を誇っている。

監督は韓国人の申台龍氏。選手たちのコンディションを見抜いて先発を入れ替え、常にフレッシュな戦力を送り出してチームを活性化させる。

日本代表はジャカルタでのインドネシア戦後、そのまま中国の厦門(アモイ)に移動し、中国と対戦する。相手の中国もバーレーンからの移動だが、休養は日本より1日長いので、森保監督はこの試合での先発選びに細心の注意を払わなければならない。

順位表を見れば、現時点のC組で日本が大きく抜けているのは間違いない。しかし「11月シリーズ」で勝ち点を落とすようなことがあれば、一挙に様相が変わってくる。10月までの4試合とは違う采配が不可欠。アウェー連戦となる11月の戦いは、今予選の大きなカギを握っている。

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