[go: up one dir, main page]

ペットボトルが“振るだけ”で瞬時に凍る シャープの「アイススラリー冷蔵庫」、猛暑の現場で引き合い続々

» 2025年07月26日 08時30分 公開
[三好一葉ITmedia]

 ペットボトルを振るだけで、冷やした飲料が瞬時に凍り、シャーベット状の「アイススラリー」が出来上がる――シャープ(大阪府堺市)が5月22日に法人向けのレンタルを始めた「アイススラリー冷蔵庫」が注目を集めている。7月24日に開幕した展示会「猛暑対策展」(東京ビッグサイト、7月24〜26日)の会場では、企業の担当者が実機に足を止め、次々と試飲する姿が見られた。

photo 会場で提供されていたアイススラリー(編集部撮影)

 アイススラリー冷蔵庫は、液体が凝固点を下回っても凍らない現象「過冷却」の特性を応用した製品だ。ペットボトル飲料を13時間かけて冷やし、飲む直前に振って刺激を与えると、シャーベット状の「アイススラリー」に変化する。

photo アイススラリー冷蔵庫
photo アイススラリーの飲み方(出典:ニュースリリース)

 このアイススラリーは、微細な氷が体内で溶ける際に熱を奪うことで、効率的に体を冷やせるとされる。アイススラリー冷蔵庫には、6月時点で建設現場や工場、倉庫など1000社以上から問い合わせが寄せられており、在庫はすでに残りわずかだという。

 通常の冷蔵庫や冷凍庫との違いは、冷却の仕組みにある。過冷却を起こすには「ゆっくりと均一に冷やす」必要があるため、冷風が直接飲料に当たってムラが生じないよう、ファン制御や風路構造を工夫しているという。いわばエアコンのように、冷気を循環させる方式だ。温度は0〜ー18℃の範囲で9段階で調整可能で、飲料ごとに適したモードを選べる仕様だ。

 取材では、ライチ果汁を使った市販飲料で作ったものを試飲できた。

photo 試飲したアイススラリー

 氷の粒は思った以上に細かく、シャリシャリというより「モキュモキュ」とした柔らかな食感だ。想像よりも滑らかな口当たりで、のどだけでなく、身体の内側がしっかりと冷えていく感覚があった。「開発担当は試飲を繰り返すうちに、お腹を冷やしすぎてしまうこともあったそうです」と、シャープの広報担当者は苦笑する。

 なお、炭酸飲料は噴き出す恐れがあり、無糖の水やお茶は氷の塊ができやすいことから、アイススラリーには不向きだという。シャープが推奨するのは、糖分や塩分を含む、スポーツドリンクや果汁飲料だ。飲料ごとに適した過冷却温度が異なるため、レンタル時には「ポカリスエット」「カフェラテ」「梅飲料」などに対応した温度設定の一覧表を配布している。

photo アイススラリー冷蔵庫

 冷蔵庫の本体サイズは495(幅)×598(奥行き)×770(高さ)mm、重さは約27kg。ペットボトルは、500mlサイズで最大40本、280mlサイズで最大55本まで収容できる。レンタル期間は2〜5カ月で、価格は個別見積もりとなる。「現在はレンタルのみですが、購入希望の声も多い。販売も含めて展開の拡大を検討しています」(広報担当者)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.