私が長年暮らしている街の近くに、二つの海がひとつに溶け合う特別な場所がある。 イベリア半島最南端の街――タリファ(Tarifa)。 街のはずれに続く、両側をビーチに挟まれた細い遊歩道を歩いていくと、まるで大陸の端から世界の境目へ導かれるようだ。片側には穏やかな地中海――マル・メディテラネオ(Mar Mediterráneo)。もう片側には、雄大な広がりを見せる大西洋――オセアーノ・アトランティコ(Océano Atlántico)。 その狭間に立つと、二つの青が境界線を曖昧にしながら、静かに、しかし確かな力でぶつかり合っているのが感じられる。 「Mar Mediterráneo - 地中海」と…