前回の「天人相関説」については生硬な論でうまく書けていません。不勉強な素人の仕事なもので、悪しからず。 今回は吉原英夫氏の〔「項王笑日、『天之亡我、我何渡為』」などについての若干の問題〕の中で気になった点を考えてみる。吉原氏は次のように書かれている。以下引用。 さて、やっとの思いで烏江に辿り着き、「於是、項壬乃欲東渡烏江」。烏江の亭長は敗走して来た項羽らを見てすぐに事態を了解し、船を出す用意を始める。この「烏江亭長、檥船待」を、項羽が到着する前から船を準備して待っていたとするのは不自然である。垓下から烏江まで二百キロ以上、項羽が敗走して烏江へ向かっているという情報が、疾走する項羽の到着以前に烏…